しくみの中にはひみつがいっぱい!『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015』を読んだ!

こんにちは、下町の総務sakimitamaです。今回は『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015』を読んだ感想を記事にまとめました。

タイトルとおり、全部読みました。情報の質と量がすごすぎて、全部読むのにずいぶん時間がかかってしましたが、とても楽しかったです。(本をプレゼントしてくださったDTPの勉強会様、ありがとうございました!)

基本データ

カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015 (Works books)
『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015』
大型本:360ページ
出版社:ボーンデジタル
ISBN-13:978-4862462626
発売日:2015/2/25

追記:2015年6月にPDF版も登場!
知識を気軽に持ち運べるようになりました!

知識が詰まったしくみ辞典、とても優れた本なのですが、その充実した内容ゆえ気軽に持ち運べないサイズでございました……。

が、そんな悩みも一挙解決!PDF版の登場により、知識の塊を好きなデバイスに入れて、気軽に持ち運べるようになりました。これで、ちょっとしたスキマ時間も有効活用できますね!また、PDFなので書籍内テキスト検索も可能。仕事中に気になった項目や単語をパパっと一気に調べることができます!素敵!

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ワークスオンラインブックストア|【PDF】カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015

こんな人にオススメ!

先生や先輩など、教育する立場の人
これからDTP業界で働こうとしている人
フリーランスなど、周りに気軽に質問する機会がない人
雑学好きの人・解体好きな人

各章プチレビュー

せっかく全部読んだので、それぞれの章を簡単に紹介。

00 印刷物制作とDTP

DTPに関するざっくりとした情報を解説。本書の「はじめに」的な役割もありそうな、わりと本文が熱い章。

本書の役割は、互いに見えにくくなった印刷物制作の工程を図解しながら伝えることにある。(26ページより引用)

01 ハードウェア

DTPには欠かせない、パソコン・ディスプレイ・プリンタ等のハードウェアを紹介する章。

ここだけで、一冊の本になるのでは……?という充実っぷり。あまりの充実っぷりに、家族にも読ませて勉強させた。

各ハードウェアの基本的な構造を詳細な図付きで解説してくれているので、今までぼんやりと理解していた「しくみ」をしっかりと自分のものにできる。日常業務や普段の生活で、これらのハードを使う人は、読んでおいて損はない。超おすすめ。

02 電子書籍とデバイス

電子書籍の現状とこれからを解説した章。

スッキリ図解されているので、現在の電子書籍界の混沌っぷりがよく分かる。著作権に関する解説ページもあるので、これから電子書籍を出版してみたいという人にもオススメ。個人的にはiPhone6と電子ペーパーのしくみに関する項が面白かった。

03 カラーマネージメント

色沼へようこそ!ページ数的には少ない方に入るが、内容的には相当深い章。深すぎて、「もう一回読む」と書かれた付箋がたくさん貼られている。

RGB、CMYとは……から、実務でのカラーマネジメントまで、色の基本を学ぶことができるので、写真を扱う人、絵を描く人にオススメ。

04 デジタル画像

デジタル画像を日常的に扱っているけれど、実はよく知らない……そんなアナタにピッタリな章。

デジタルデータの考え方・しくみ、ベクタ・ラスタの違い、Ps/Aiの簡単な機能紹介などなど、職種を問わずデジタル画像を扱う人にオススメ。

05 文字とフォント

文字沼へようこそ!安全な場所から、文字沼の深淵を少しだけのぞける章。

活字・活版印刷の簡単な解説から、フォントの基本・種類、文字コード・外字まで、あっというまに文字の世界を駆け抜ける。文字を扱う人すべてにオススメしたい章。まさかの「文字に関するFAQ」付き。

06 組版・レイアウト・デザイン

ものすごく見覚えのある解説が読める章。組版の話をしているはずなのに、胸にアツいものがこみ上げてくる。日本人に生まれてきてよかった。

本や紙面の構成要素から、日本語組版の基本、校正作業まで幅広い解説が楽しめる。組版に携わる人だけでなく、「本」が好きな人や「文章」を書くにもぜひ読んで欲しい章。

07 プリプレスワークフロー

データができてから、印刷に至るまでの範囲を扱った章。ロゼッタパターンとAM網点・FM網点は覚えたので、これからニヤニヤしようと思う。

この辺はプロとして実際に業務に携わっている人向け情報ではあるが、RGB→CMYK変換の仕組みや面付けなどに関する解説は、同人誌など個人で本を作る人にも役立ちそう。

08 カンプとプルーフ

タイトルとおり、カンプとプルーフに関する業界の苦悩と、それに立ち向かう工夫・技術を扱った章。(大げさ)

この本を読むまでは、実際に印刷に入る前に、正確な「色校正」や「できあがりのチェック」ができるものとばかり思っていたが、現実はそう簡単ではなく、生き物を扱うような難しさがつきまとっている。内容的にはシンプルだけれど、その辺の問題をどう解消していくかという、業界全体の努力が垣間見れる章。

09 デジタル印刷

オンデマンド印刷のしくみや、最先端の印刷機を解説した章。

バリアブル印刷など、デジタルならではの利点も解説。印刷機の紹介が多め。ワークフローに関する部分は、様々な会社をまたぐ印刷業界ならでは。この辺の考え方は、自分の業務に活かしたいと思った。

10 印刷

印刷の基本を扱う章。紙やインクの作り方から解説がはじまり、電子顕微鏡写真なんかが出てくるあたりに、執筆陣の本気度が伺える。教科書レベル。

紙の目や、多色印刷のしくみ、代表的なトラブルなどなど、知っておかなければならない情報が詰まっている。本なら何度読んでも怒られない(むしろ褒められる)ので、存分に頭に叩き込むといいと思う。これからDTP業界で働く人に特にオススメ。

11 製本/後加工

さまざまな製本・加工技術を解説した章。眺めているだけで楽しい。

あのお気に入りの本は、ノートは、カードはパッケージはこんな加工をされていたんだ!と感動できるし、自分でも何か作ってみたくなる、紙もの好きの人にオススメの章。

12 印刷とエコロジー

印刷業界が取り組んでいる環境対策についての章。印刷は結構化学だった。

どの業界も利益・効率アップと、環境保護の間で苦労している模様。地球のためにも、現場で働く人のためにも、印刷物を利用する人のためにも、ぜひぜひ頑張って欲しい。

プチレビューおわり。

解体図がすばらしい。

「しくみ事典」というタイトルの通り、解体図や解説図が非常に充実しています。すんばらしい。理科の教科書みたいで、パラパラ眺めているだけで楽しいです。個人的には、ペンタブレットと液晶ディスプレイのしくみが一番テンション上がりました。

見開きでワンセットなので、サクッと読める!

この本は見開き2ページで一つの話題が完結するように構成されており、サクッとテンポ良く読み進めることができます。また、いつでも中断&再開することが可能。

事典というだけあって、とても情報量が多く、いっぺんに読もうとすると、ちょっと大変なのですが、この構成のおかげで、スキマ時間を利用し、無理なく知識を得ることができます。

DTP&印刷業界、はじめの一冊

私は完全に業界外の人間ではありますが、最初から最後まで本文すべてに目を通して、この本はとても良い本だと感じました。

それは、データ作成から出力まで、信頼できる知識が系統立ててまとめられており、大きな流れの一部として、自分の仕事を理解できるだろうと思ったからです。

世の中にある仕事のほとんどが、自分一人で完結するものではありません。誰かからタスキを受け取り、また誰かに手渡す、駅伝のようなもの。

全体の中で、自分はどの部分を任されているのか、他の人はどんな仕事をしているのか、そういうことを簡単にでもいいから理解すると、自分の担当箇所はもちろん、携わる業務全体を円滑に進める手助けをしてくれると私は考えます。責任感も芽生えますしね。

だから、もし「これからDTP業界で働く!」という知り合いができたら、まっさきに、この本をオススメしたり、プレゼントしたいなーと思ったのでした。業界にこういう本が存在している(しかも毎年内容が更新されている)というのは、とても素晴らしいことですよね。

というわけで、『カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 2015』はDTP&印刷業界の方にぜひ読んでいただきたい、とーってもオススメの一冊です。

以上、sakimitamaでした。お疲れ様でした!