同じ素材&アナログしばり。40人で本の表紙をデザインして遊びました。【第4回さいたまデザインDTP勉強会】

2016年7月9日、埼玉・大宮で行われた「第4回さいたまデザインDTP勉強会」に行ってきました。同じ素材を与えられた約40人がハサミ+αで本の表紙をデザイン。こんな楽しい勉強会があるなんて!というわけで、参加した感想を記事にしました。

基本情報

第4回さいたまデザインDTP勉強会
テーマ:「デザインのバリエーションを工作する」
日時:2016年7月9日(土) 13:30〜17:00
会場:貸会議室 6F(ロクエフ)(埼玉県さいたま市大宮)

https://www.facebook.com/saitamadtp/

あらかじめ用意された素材(写真・タイトル・キャプションなど)を用い、本の表紙を作成するデザインワークショップ。PC使用不可。

ワークショップの後には、全員のデザインを壁一面に張り出し、気に入った人にシールを貼っていく投票イベントもありました。

作品ふりかえり

私の作った作品はこちら(他の方の作品はさいたまデザインDTP勉強会FBページで見ることができます)

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どうしてこういうデザインになったのか、一つずつ振り返ってみます。

A写真一枚と文字のレイアウト

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1枚しかないひどい写真をタテに切り、左右を入れ替えることで、ひどさを軽減、2種類のパンケーキが掲載されているかのようにしました。パンケーキの欠けた部分は見てる人が勝手に脳内で補うので、きっと写真より美味しそうに見えるはず。ワークショップだから何も言われないけど、実際にやったら怒られそうなヤツですね。

縦割り&左右逆配置というのは初めの方に思いついたのですが(いや、さすがにコレは笑われちゃうよな)と断念。本屋でよく見る「無難なレイアウト」を目指しました。

が、素人の私がどう力を尽くしても「無難なレイアウト」にすることができなかったので、開き直って最初に思いついたデザインになりました。

無難な、というか「違和感のないレイアウト」って難しいんですね……。

ちなみに、このアイディアはこち亀の「スーパーエディター両津!の巻(マンガ原稿焼失をごまかすため、燃え残った数コマをくりかえし使って1話分完成させる回)」に着想を得ています。

私にとってはこの課題が一番難しかったです。他の課題の残り時間もチョキチョキしてました。すみません。

B文字だけのレイアウト

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配置できる要素がない分、イメージ→完成までわりとスムーズでした。ひとつ前のワークショップで開き直ったのも大きかったですね。

こちらのデザインは『なるほどデザイン』168p「あしらいらしさとは 読む<見る感 である」と、『デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』74p「英文をタイトルと組み合わせる」のあたりに着想を得ています。

Cグリッドを意識したレイアウト

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グリッドを意識するとデザインがまとまりやすいよ、でも別にグリッドにしなくてもいいよ。ということだったので、写真をグリッドに並べて九州のカタチに切り抜き。

素材写真がすべて小さかったので、遠くから一目で「九州に関係するもの」が伝わるよう、またAと同様に素人の私がどうしたら見てもらえるか?という事を考え、このデザインにしました。

不器用なため九州の完成度は今ひとつ。こちらもあまり迷いませんでした。ちなみにコレは、『デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』の37pページ「内容にあったモチーフで写真を型抜きにして用いる」に着想を得ました。っていうか、そのままです。

D自由なレイアウト

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カフェごはんが好きな人は、きっと手帳にカフェ日記とかつけてるに違いない!そこに「おうちでつくる」とか入ってたら、きっと気になって手にとってくれるのでは」という偏見に満ちたデザイン。Instagramのほぼ日タグや、手帳に絵を描く系書籍の作例から着想を得ています。

これは写真配置で苦労しました。同じ大きさ・種類のものを渡されているのに、どうがんばっても美しく配置できない……。当たり前なんですけど、やっぱり苦しかったです。

人気投票1位をいただきました

ワークショップ後に行われた人気投票で1位をいただきました。

「気に入った作品」ということで、インパクト勝負的な側面が大きく、帯や陳列場所など大人の事情を一切考慮していない(というか知識も能力も無いからできない)大胆な部分が気に入っていただけたようです。「売れそうな作品」だったり、投票するのがその辺の道行く人だったら、こうはならなかったでしょう。

子供の絵がなんだかよく見える的なアレだろうなと思いつつも、布団の中でフフッっと喜びをひとり噛みしめたり、パソコンデスクの横に早速貼っちゃうくらいには嬉しかったです。いい夢見させていただきました。投票してくださったみなさん、ありがとうございます。

あ、あと、前日に樋口さんの本『デザインのバリエーションや代案をくださいと言われてももう悩まない本。』をちゃんと全部読んで予習していったので、そのおかげだと思います!いやー、いい本だな!ほんと良い本だ!

感じたこと・学んだこと

あこがれの人と同じ机で作業できた!

今回の勉強会で嬉しかったのは、憧れの方が作業をしている様子を間近で見られたこと。第一線で活躍する方と同じ机で作業できて、しかもお話まで聞けるなんて!何かを直接教わったわけではありませんが、そばにいるだけでかなりの経験値が得られたと思います。いや〜、幸せでした。最高でした。ごちそうさまでした。

自分にできること、できないことを把握する

今回、私の作品を気に入ってもらえたのは「自分ができないことを把握して、それに目が行かないような作品を作ったから」だと思います。普通に作ったらプロに敵うわけないですからね。

自分が持ってるリソースを最大限生かせるように立ち回れば、私の作品でも好きだと言ってもらえるってのは、大きな自信につながりました。かなり特殊な状況下ではありますけど、とても嬉しかったです。ありがとうございます。うふふ。

これチャレ◯ジで見たやつだ!

4つの表紙はすべて、頭のなかにストックされていたイメージ・方法を作品に落としこんだものです。1から作ったものはひとつもありません。いつもは「なんかあったらネットで調べればいい」なんて思っていましたが、イザという時に役に立つのは自分の中にあるものでした。インプットあってのアウトプット。日々「何かアウトプットしなくちゃ!!」と焦っていましたが、あせらずしっかりインプットしていこうと思いました。

限られた環境でも、個性はでる

会議室の壁一面に並んだ作品を見て、その多様さに衝撃を受けました。同じ素材・環境でデザインしたのに、まぁバラバラなこと。十人十色とはよく言ったものです。カブらせる方が難しい。

4〜6名が同じテーブルで作業し、互いのデザインをいつでも見られる状況だったのも良かったと思います。少なくともテーブルの中では被らないように!って思いますから。次回以降もこのスタイルは続けていっていただきたいですね。

頭で考えてからじゃないと、とうてい無理

ワークショップがはじまる前、私は「写真や素材を適当に並べているうちに、きっといいのが思いつくだろう」なんて構えてましたが、実際にそれをやってみると、いいのなんて全く思いつきませんでした。ヒラメキを待っているうちに時間も素材も足りなくなり、頭も机もグチャグチャ。あの時間は本当に辛かったです。

これでは最後まで身がもたない……ということで、開き直り「多少ダメでも頭のなかで完成したイメージを紙の上に再現」する方法にシフト。結果、完成までの時間が大幅に短縮され、作業中のストレスも激減しました。時間がない時はヒラメキに頼ってはいけませんね。考えたほうが早いです。

デザイナーっていうと、ついつい感性だけで仕事してるイメージを持ってしまいますが、実際は頭のなかでそうとう考えているんでしょうね。でないと、こんな作業、喰っていけるほど数こなせませんもん。画家とかよりも、職人に近そう。デザイナーの頭のなかをのぞき見たような、そんな体験でした。

次回もぜひ参加したい!

机並べて、作って、飾って。こんなことしたの中学生ぶりです。やっぱり手を動かしてモノを作るってイイですね。終わったばっかりだけど、また行きたいなって思っちゃう。次はどんなことをしようかなって考えちゃう。そんな面白い勉強会でした。

今まで参加したデザイン系イベントの中で、トップ3に入ります。Illustrator絡んでないのにトップ3って、イッツミラクル。

というわけで、樋口さんをはじめとするスタッフの皆さん、最高に楽しい勉強会ありがとうございました。ワークショップ第二弾、勝手に期待しています!でも、写真はもっと綺麗なのがいいです!以上、「第4回さいたまデザインDTP勉強会」のレポート、sakimitamaがお送りしました。おつかれさまでした。