あなたはもっとはやぶさを好きになる。「小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた」 川口淳一郎 著

今回は、一大ブームを巻き起こした「はやぶさ」の産みの親、川口淳一郎先生が自らの言葉で「はやぶさ」について語った本「小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた」をご紹介したいと思います。

はやぶさが帰還してずいぶん経ちますが、もうすぐ「はやぶさ2」も打ち上がるのでいいかなーと思い取り上げてみました。
科学系の新書ってちょっと難解……というイメージがありますが、この本は専門的なことも非常にわかりやすく丁寧に書かれているので、今まであまり宇宙に興味がなかった方にもおすすめです。

内容は”「はやぶさ」が計画された経緯”から、”「はやぶさ」が後世に残したもの”まで、まさに「はやぶさ」の一生。その一生を”産みの親”である川口先生が書かれているのですから、「はやぶさ」をより詳しく知るのにこんな適した本はありません!

では印象に残ったところを何点かご紹介しようと思います。

 

「はやぶさ」の旅がアニメが楽しめる、パラパラ漫画

左ページ下にあるパラパラ漫画には「はやぶさ」・太陽・地球・イトカワ・火星が描かれており、2003年5月の打ち上げから2010年6月「はやぶさ」帰還までの間、「はやぶさ」がどんな道筋を辿ったのか、旅の行程をアニメーションで楽しむことが出来ます。

私、超素人なので 地球→イトカワ、地球←イトカワみたいな直線でイメージしちゃっていたのですが、みんなでぐーるぐーる回っていたのですね。シンプルなパラパラ漫画なのですが、「はやぶさ」の動きがわかりやすくてとても本当に気に入っています。

 

イトカワ接近という緊迫した画面で突如現れる可愛い生き物

「はやぶさ」ブームの最中に何度か眼にして、その存在も画像も知ってはいたのですが、「イトカワを見つけた!!さぁ、着陸準備だ!!」というシリアスな場面で突然出てくるものですから、思わず破顔してしまいました。あの、すっごい適当な感じ(褒めてる)がまたかわいいんですよね。

 

「はやぶさ」、そうまでして君は。

とても有名な一文ですね。川口先生がお書きになったもう一冊の「はやぶさ」本のタイトルにもなっています。これは2010年4月15日公開の「関係者からのメッセージ」サイトに川口先生が寄稿された文章のタイトル。プロジェクトマネージャではなく、一人の人として、はやぶさの親として、7年間共に走り続けた「はやぶさ」への想いが淡々と書かれています。

何度読んでも心が打たれます。2013年8月現在でも「http://hayabusa.jaxa.jp/message/」でその全文を読むことが出来ます。また、こちらの特設ページでは66個のメッセージ(川口先生分含む)が掲載されており、それぞれの「はやぶさ」物語を垣間見ることができます。こちらはいつでも無料で読むことが出来ますので、ぜひこちらだけでものぞきに行ってみて下さい。

 

第七章 「帰還」

クライマックスに当たる本章は、タイトル通り「はやぶさ」の帰還について書かれています。一番報道されている部分なだけあって、他の章に比べ知っていることも多いのですが、それでも涙なしでは読み進められない感動的な内容になっています。

特に「はやぶさ」のラストショット、そして「はやぶさ」の最後の姿。この辺りでは視界がぼやけて文章がまったく読めないほどでした。

 

おわりに

180ページあまりのこの小さな新書には「はやぶさ」と、川口先生、そして「はやぶさ」プロジェクトに携わった多くの人の想いがつまっているのです。もちろん、この本に載っているのはそのほんの一部ではありますが。

地球を飛び立ち、宇宙を旅し、再び地球に帰ってきた「小惑星探査機 はやぶさ」。その「はやぶさ」が生きた証があなたの手のひらにやってくる。それってすごく素敵なことだと思いませんか?

「小惑星探査機はやぶさ 「玉手箱」は開かれた」おすすめの一冊です。