AnimationAid 2019Winter ジェスチャードローイングクラス 入門編 Week2の感想、というか嬉しかったこと。授業の内容まとめではないし、Week1の感想もまだだけれど、忘れないうちに残しておきたいと思ったから。
これは、とても抽象的な感想である。
Contents
私にとって難しいこと
私は人と同じように振る舞うのが苦手だ。奇をてらっているとか、目立ちたいわけではないのだけれど、そういうふうにしか振る舞えないときがある。みんなと同じ様に振る舞おうとすると、私の中で、とてつもない労力が必要だったりする。
飛び抜けた才能があるならまた話は違うのかもしれないが、そんなこともなく、私は「ただルールを守れない普通の人」である。
私のような人間は輪を乱すから、今まで多くの人に迷惑をかけてきた。そしてこれからもたくさんの人に迷惑をかけていくと思う。
パン食い競走
私は2019年2月24日から、AnimationAidのジェスチャードローイング入門編(全7回)を受講している。AnimationAidというのは、アニメーションに特化した少人数制オンラインスクールだ。
詳しくは公式のサイトを参照してほしい。
https://animationaid.com/
クラスは始まったばかりで、先週の日曜日にWeek2のクラスを受けたところ。
ジェスチャードローイングクラスの授業内容は、提出した課題へのフィードバックがメインである。
Week2のフィードバック課題は「1分、3分、5分ドローイングを5~10セット」だった。
私はこの課題に対して「50m、100m、200m走をやっておいで~」と言われているのに、「(勝手にパンを作って)ひとりでパン食い競走をしてきました!」というような絵、つまり「ちょっとズレた絵」を提出した。もしかしたら「かなりズレた絵」だったかもしれない。
50mも、100mも、200mも、私なりに真剣に取り組んだけれど、正直、気が狂いそうだった。
クラスのみんなは、パンなんかなくったって、ビュンビュン走っている。その姿はかっこよくて、うらやましく思えた。
私も一緒に走りたい。だから、200m走だけ、パンを作って食べることにした。
恥をかいてもいい、先生に叱られてもいい、みんなと同じトラックを走ってみたかったのだ。
はなまる
クラス当日。私はフィードバックがないことも覚悟しつつ、ビクビクしながら自分の番を待った。
私の課題を見た先生は「sakimitamaさんは、見えてる世界がちょっと違うのかなと思う。あなたにしか見えないものを、今こうして絵で表現してくれることで、僕らが今、見えている状態になる。それってありがたいよね~」と言って笑った。
(よかった、怒られなかった……)めちゃくちゃホッとした。
「パンが好きなんだねぇ」とか「いいよねぇ、パンは。おいしいよねぇ」とかいいながら、フィードバックの準備が進む。
笑ってもらえただけで十分だったのに、絵も見てもらえるなんて。私はひそかにパニックを起こしていた。
(どうしよう。どうしよう。あぁ、もう本当にすみません。すみません。もう大丈夫です。どうか、みんなの時間が無駄になりませんように)
……文字にしてみると、なんとネガティブ思考なのだろう。これでは先生にも、みんなにも失礼だ。次からは気をつけることにする。
さて、フィードバックタイム。そうは言ってもパン食い競走。パンをくわえて走ってきた私を、みんなの前でどう扱うか、どんな言葉をかけるか、先生はすごく悩んだと思う。
悩んで悩んで、一生懸命私に言葉をかけてくれた。
—–難しい部分だけど、今のこのクラスではChangeではなくPushだけで練習していこう。
—–俺はこっちが見たいけど。これ難しんやで。このクラスしてて、立場上そういう風に言うしかない。俺も向こうの学校で、よく言われた。「すごく楽しいけど、この課題ではこれをしてね」って、苦しそうに言っている先生を何度も見た。
—–あなたにとって200mはパン食い競走でいい。もっというと、もう、それをしましょう。ただ、課題でやってきてほしいっていうものも、やってくれると嬉しい。そうしないと、このクラスの意味がなくなってしまうから。
—–入門編はあなたにとって、もっとやりたいことあるのに!って時間になると思うけれど、絶対にいい絵を描けるようになる時間になると思う。一緒にやっていきましょう。
そして、たくさんの言葉とともに、先生は私の絵に「はなまる」をつけてくれた。
パンをくわえてゴールしてしまった私へ、失格を告げるのではなく、はなまるのメダルをプレゼントしてくれた。
天国のような場所だと思った。
クラスメートの話
せっかくだから、少しだけクラスメートの自慢話もさせてほしい。
私の課題がフィードバックされている時、みんなは「素敵です」ってコメントをくれたり、私の絵を見て笑ってくれた。
私は、私みたいな人間が輪の中に入ってきた時、多くの人がとるリアクションを知っている。自分たちの価値観やコミュニティを守るためのリアクション。それは社会を営む上で、必要な行動でもある。
「枠から外れたものを受け入れる」にはコストがかかる。受け入れる側に余裕が無いとできない。受け入れる側が「自分」を持っていないとできない。
それなのに、みんなはいとも簡単にやってのけた。
「この人達はすごい」と純粋に思った。(もちろん、そういう空気をつくった先生も)
そんな人達と一緒に走ることができるなんて、私は本当に幸せものだ。
AnimationAidがなければ、出会わなかったであろう私たち。偶然唯せんせいの周りに集まって、同じトラックを走ることになった私たち。
風のように走る人、踊るように走る人、水平線のように走る人。クラスのみんなは、その走り方も、進んでいく先もバラバラだ。
5週間後、私たちは、このクラスが始まる前と同じように、また別々の道を走っていくのだろう。それぞれの目指す場所に向かって。
気の早い私は、その瞬間をいまから寂しく思ってしまう。
あぁ、どうか、みんなの夢が、全部ぜんぶ叶いますように。一歩を踏み出すその先に、明るい未来が待っていますように。
そんなことを思いながら、今日もクロッキー帳のページをひらく。
抽象的な感想、おわり。