今日は、私に本を読むことの面白さを教えてくれた一冊の児童書をご紹介します
基本データ
タイトル:わるくちのすきな女の子
ISBN4-591-03372-4
作:安房直子
絵:林静一
価格:777円(税抜き)
対象年齢:小学校中学年
(私は小学校1年生の時に読んだので、たぶん低学年でも大丈夫だと思います)
あらすじ
人の悪口ばかり言う女の子は、ある日魔女に魔法をかけられ、ちいさな小鳥になってしまいます。女の子はその魔法を解くため、ひとりぼっちで旅をはじめ、様々な生き物と出会い、かけられた魔法が解けるころ、素直な言葉をみつけることができるのでした。
新しい世界への扉
これは、私が初めて読んだ物語の本。
この本と出会っていなかったら、今の私はいなかったでしょうし、もしかしたら、本を読むのが好きになっていなかったかもしれない。私に物語の素晴らしさを教えてくれた、本への扉を開いてくれた、大切な大切な一冊です。
作は有名な児童文学作家である安房直子さん、絵は小梅ちゃんでお馴染みの林 静一さん。影絵のような表紙が可愛らしくて大人っぽくて、数ある学級文庫の中から真っ先にこれを選んだのを覚えています。
裏表紙もかわいい。
物語の主人公はわたし
当時、私はこの物語に出てくる女の子そっくりでした。4月生まれで、背も高く、勉強もできた私は、何の疑いもなくクラスメートを子分か何かだと思っていました。ツンツンして、意地っ張りで、わがままで、可愛げがなくて、生意気で、
「どうして大人たちは、何でも上手にできる私ではなく、何をするにも下手でのろまでみんなの方を可愛がるの?意味がわからない!大人も子供も大嫌い!」
なんて事を考える、そんな、ひとりぼっちの子供でした。
自分を恥ずかしいと思う感情
この本のテーマは
人をバカにしたり、見下して悪口ばかりいっていると、いつか自分に返ってきますよ。あなたの大切な言葉は、人を褒めたり感謝することに使いなさい。
ということ。
この本を読み終わった時、私は自分のことが恥ずかしくてたまりませんでした。今まで自分がしてきたことを、情けなく思いました。私はどれだけちっぽけで、嫌われる存在だったんだろう。
人は、自分で見つけたものを、そう簡単に否定したりはできません。当時の私は、本の中で見つけた自身の愚かさを、受け止めるほかなく、胸の痛みとともに私はひとつ大人になりました。
と、まぁ、初めての読書体験は、決して楽しいものではありませんでしたが、一人の女の子を一気に本好きにしてしまうくらいには衝撃的な出来事でした。
あれから二十数年、今でも本を読むことが大好きです。
入手困難本
さて、この『わるくちのすきな女の子』ぜひとも皆さんに読んでいただきたい一冊なのですが、残念ながら現在は絶版。2015年3月現在、どこの書店でも入手することはできません。
たいていの図書館には置いてあると思いますので、読むこと自体は苦労しないと思いますが、自分で一冊欲しい、誰かにプレゼントしたいという場合は、オンデマンド出版の利用をおすすめします。絶版の本を1冊から購入できる、いい時代ですね。
万能書店 『わるくちのすきな女の子』
https://www.d-pub.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=143
というわけで、今回は『わるくちのすきな女の子』のレビューでした。とっても素敵な本なので、機会があったらぜひぜひ読んでみてくださいね〜!以上、sakimitamaでした!