早稲田祭2015にて行われた「本格ミステリ作家クラブ講演会」に行ってきましたので、その感想をまとめました。
はじめに
今回の記事の内容は、その全てが私の記憶によるモノです。そのため、実際の講演会内容とは異なる部分があるかもしれません。どうぞ、話半分にお読みください。ちなみに、私は法月先生が大好きです。
基本情報
ワセダミステリクラブ主催 「15周年記念 本格ミステリ作家クラブ講演会」
日程:2015年11月7日(土) 13:30〜
場所:早稲田大学 戸山キャンパス36号館 382教室
トークショー:綾辻行人・有栖川有栖・北村薫・辻真先・法月綸太郎+杉江松恋(司会)
サイン会:綾辻行人・有栖川有栖・北村薫・辻真先・法月綸太郎・麻耶雄嵩・皆川博子
本格ミステリ作家クラブって?
本格ミステリというジャンルのさらなる発展を目指し、2000年に設立された団体。年間の最優秀本格ミステリ作品を表彰する「本格ミステリ大賞」を創設し、その運営をおこなっている。初代会長を北村薫氏、2代目会長を有栖川有栖氏、3代目会長を辻真先氏がつとめ、現会長を法月綸太郎氏がつとめる。現在、推理作家・評論家・漫画家など約150名が所属している。(講談社BOOK倶楽部著者紹介より引用)
設立15周年を記念して、歴代の会長4人と+αで、今回のトークショーが行われました。
超豪華!トークショー!
ワセダミステリクラブ(以下WMC)は毎年、ミステリ作家の方をお呼びして講演会を行っていますが、今年はまさかの本格ミステリ作家クラブとのコラボレーション!こんなにも有名な方がたくさんいらっしゃるだなんて!よかったー、WMCのTwitterフォローしてて良かったー!
当日の流れ
開演
↓
簡単な自己紹介
↓
それぞれの代のエピソードなど
↓
質疑応答
↓
締め
一旦お開き
サイン会
開演
トークショーは早稲田大学文学部の一室で行われました。私が座ったのはこの辺。
わりと後方の席でしたが、法月先生の顔だけはちょうど見える位置だったので、幸せでした!
登壇者の並びは、向かって左から、司会の杉江松恋さん、発起人の一人である綾辻行人さん、初代会長の有栖川有栖さん、2代目会長の北村薫さん、3代目会長の辻真先さん、現会長の法月綸太郎さん。
簡単な自己紹介
もう、簡単すぎてあんまり記憶にないのですが、たった一行「法月先生の挨拶から、人の良さを感じる」とメモが残っていました。察してください。
それぞれの代のエピソードなど
全体的に「本格ミステリ作家クラブ」についてのお話でした。印象深かった部分をいくつか。
「本格ミステリ」をちゃんと考えたり、もりあげる会を作りたいという話が出た。どれくらいの規模にするのか、誰に声をかけるのか、そういうところから決めていった。
「本格のため!」に賞を作った。エンタメという大きなくくりでは賞を取れなかったけれど、優れた作品は毎年毎年たくさんある。そういう作品を評価し、広め、候補となる優秀な本格ミステリ作家を積み重ねていこう。
後々のファンのために、どれを読めばいいのかわからない時は、この賞をとった作品を読めばいい、これを読めば今の本格ミステリがわかる、そういうモノを作りたかった。
本格ミステリ作家クラブの英語名称を作る時に、「Japan Detection(←よく聞き取れなかった) Club」という案も出たが、略したら「JDC」になってしまい、清涼院流水さんに失礼だという事になった(冗談)※場内爆笑。流水御大の変わらぬ人気を感じました。
「本格」は日本独特の概念。どの言葉も当てはまらない。「本格」は「本格」、だから「Honkaku」でいこう。ということで、「Honkaku Mystery Writers Club of Japan 」にした。
本の売り上げにつながる様なモノはないか、と出版社の人に相談されたので、授賞式の次の日にトークショーを企画した。作家ー出版社ー読者がつながれるイベント。イベントでは本が飛ぶように売れ、本が売れる様子を目の当たりにした出版社の新人社員が「本が……、本が売れている……」と感動していた。
いろいろな事情で、賞として出せない作品がある。狭いマトを深く射抜くことができれば……。一人では大したことができなくても、大勢集まれば大きなことができる。その一人ひとりが実力者であるなら、切磋琢磨しあい、より大きなことができる。というわけで、アンソロジー面白いから読んで。
本格ミステリ作家クラブは設立15周年。発起人の人たちは15歳も歳をとった。本格を次の世代に回していかなければ。というわけで、若い世代が集まりやすい大学の学園祭でトークショーを企画した。(本格ミステリ作家クラブのトークショーの)常連の方以外が多く参加してくれて、とても嬉しい。
海外で「Honkaku」がとりあげられはじめたこともあり、公式サイトをリニューアルするタイミングで、英語に対応した。サイトの英訳はプロの翻訳家が担当しているので、中途半端な変な日本語ではありません!
質疑応答
Q.読者の読解力が低くなっているような気がするが、作家の人から見てどうか。
読者の読解力が低くなっているのは事実。なんでも検索ででてくるし。それは、若い人だけというわけでなく、全体的に。
手取り足取りが喜ばれる風潮はある。その親切さに甘えてしまうということもある。実際、親切な方が売れるので、それがどんどん作られる。
本を読むことは勝負。作家だけがかんばっても、良質な読書体験はできない。読者も頑張れ。
Q.作家として電子書籍はどうなの?
マーケット的にはまだまだ。日本では紙が主流。自分としては、どんな形であれ、読んでもらえればうれしい。ただ、自分は紙の本で揃えたい。物心ついた頃から電子書籍が存在していた世代が成長し大人になった時に、大変革は起こると思う。
紙の本には、表紙・デザイン・フォントなどなど、いろいろな要素がある。それが本の味。(個人の)感覚的なものだが、自分としては電書は受け入れがたい。
締め
本格ミステリ作家クラブでは毎年アンソロジー出しているので、買ってください。本格のエッセンスは短編にあり!というわけで、この一冊を読めば「今の本格は?」「これからの作家は?」がわかるので、ぜひ。
2015年(15周年)、予想以上に人が集まった。とても嬉しい。2020年もよろしくね!
一旦お開き
サイン会
サイン会はトークショーに参加された、綾辻行人さん・有栖川有栖さん・北村薫さん・辻真先さん・法月綸太郎さんに加え、麻耶雄嵩さん・皆川博子さんも参加。総勢7名の豪華作家陣によるサイン会でした。
時間は1時間&サインを貰えるのは、講演会参加者のみということで、かなり余裕のあるサイン会でした。家族と2人合わせて、5冊の本にサインをしていただきました!
法月先生のサイン。
麻耶先生のサイン。
5冊のサインを貰うまでにかかった時間は25分くらい。こんなに余裕があるならば、法月先生の本、持てるだけ持ってくればよかった!と激しく後悔。特に『法月綸太郎の功績』!あああ!シリーズ大好きなのに!ああああああ!
まとめ
もっと大きな場所で
私は運良く入場できましたが、今回、かなりの方が入場できなかったようです。「全世代の本格ミステリ団体を目指す」ということで、若い人が多く来るような会場になったのでしょうが、あれだけ多くの人が悲しい思いをするのは、イベントとしていかがなものかと思います。
本格ミステリというのは、会員の方が考えているよりも人気があります。作家と読者が触れ合えるせっかくの機会ですので、次回、20周年イベントはもう少し大きい場所で、しっかりと時間をとって、ゆっくりと会員の方のお話を伺いたいなと思いました。
本を読みたくなりました
私がよくミステリ小説を読んでいたのは、学生時代。WMCに所属していた頃。あれから数年。私の生活からは「読書」のための時間がすっかりなくなっていました。
今日、久しぶりに「本格ミステリ」という言葉に触れ、本棚の何割かを占めている大好きな先生方のお話を伺い、多くの時間を共に過ごした先輩後輩友人たちと再会し、本を読む時間の孤独と楽しさを思い出しました。
テレビとも、スマホとも、ゲームとも違う、一人だけの娯楽の時間。もう一度、あの感覚に浸ってみたい!そう思わせてくれるイベントでした。
出演者をはじめとする本格ミステリ作家クラブの方々、WMCの後輩たち、その他スタッフの方々、楽しいイベントをありがとうございます。ほんとに行ってよかったです。
来年は、本格ミステリ大賞トークショーにも参加したいですね!がんばって電話するぞ!というわけで、ワセダミステリクラブ主催、本格ミステリ作家クラブ講演会のレポートでした!おつかれさまでした!