この記事は初っ端からゲームの核心に触れています。未クリアの方はご遠慮ください。
先日ご紹介した『HER STORY』もうメチャメチャ面白かったので、ネタバレを含む感想をまとめました。『HER STORY』はリプレイ性のないゲームです。ストーリーを知ってしまうと面白さがなくなってしまうので、未クリアの方はご遠慮ください。
ソフトの基本情報・簡単な紹介はコチラをご覧ください↓
【ネタバレなし】推理小説・2時間サスペンス好きにオススメの一本『Her Story』レビュー
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『HER STORY』日本語版完全攻略(動画検索単語一覧)
情報
ハナ
紅茶に砂糖を入れて飲むのが好き。運転が得意。
髪を束ねるのが好き。
プライベートなことを聞かれるのが嫌。
イヴ
ブラックコーヒーが好き。妊娠している。男の人と話すのが得意。
髪を下ろすのがすき。右側に寄せる。
プライベートなことを聞かれても、わりと気軽に話す。
1回目
94年06月18日 動画ファイルの数:26
イヴ 青い服 ネックレスあり 髪おろしている
ブラックコーヒー 結婚指輪あり アザなし 入れ墨不明
2回目
94年06月25日 動画ファイルの数:31
ハナ 水色の服 ネックレス不明 髪あげている
紅茶(カップが2つあるのでおそらく砂糖あり) 結婚指輪有り アザあり 入れ墨なし
3回目
94年06月27日 動画ファイルの数:51
イヴ 赤い服 ネックレスあり 髪おろしている(途中から束ね、毛束を右へ)
ブラックコーヒー? 結婚指輪あり アザなし 入れ墨なし
4回目
94年06月30日 動画ファイルの数:46
ハナ 花柄の服 ネックレスなし 髪あげている
紅茶 砂糖ひとつ 結婚指輪あり アザなし 入れ墨なし
5回目
94年07月01日 動画ファイルの数:38
イヴ 白い服→水色のTシャツ ネックレスあり 髪おろしている
ブラックコーヒー 結婚指輪あり アザなし 入れ墨あり
6回目
94年07月02日 動画ファイルの数:9
イヴ? 紺の服 ネックレスあり 髪おろしている
コーヒー 砂糖ミルク 結婚指輪あり アザなし 入れ墨不明
7回目
94年07月03日 動画ファイルの数:70
イヴ 白い服 ネックレスあり 髪おろしている
何も飲まず 結婚指輪なし アザなし 入れ墨不明
ネタバレストーリー
※すべての動画を時系列順で検索できるリストを作ってあります。彼女の演技は素晴らしいので、できれば自分の目で動画を見てストーリーを理解してください。
動画検索用の単語一覧
『HER STORY』日本語版完全攻略(動画検索単語一覧)
昔むかし、ある夫婦に双子の姉妹が生まれた。夫婦は向かいに住んでいる助産師に子どもをとりあげてもらった。助産師は「残念ながら妹は死産であった」と母親に告げ、その遺体を処分した。元気に産まれた姉はハナと名付けられ、両親に可愛がられて成長した。
助産師は戦争で夫をなくし、若くして未亡人だった。しかし彼女には温かい家庭を持ちたいという夢があった。彼女はその夢を叶える為、向かいの夫婦から子どもを奪った。そう、死産と偽って赤子を誘拐したのだ。彼女は「イヴ」と名づけられ、家の中に閉じ込められて成長した。
イヴが8才の頃、助産師は事故死。彼女の日記を盗み読み、自分の正体を知っていたイヴは、日記を処分し、本当の自分の居場所に向かうため、道路を渡った。
初めてイヴと出会ったハナは、イヴを屋根裏部屋に隠した。彼女たちは「ふたりでひとり」の人生を選択したのだ。
イヴとハナの奇妙な入れ替わり生活がはじまる。毎日情報を共有したり、同じ場所に傷をつくったり、正体がバレないよう、様々なルールを作った。多少のトラブルもあったが、二人はそれなりに奇妙な生活を楽しんでいた。
そんな折、将来ハナの夫となる男性、サイモンと出会う。慎重に彼との距離を縮めていくはずだったが、サイモンに夢中になったハナが抜け駆けをして、関係を持ち、サイモンの子を妊娠してしまう。
ハナとサイモンの両親は二人を結婚させた。サイモンは学校を中退、コネで鏡やガラスを加工する仕事につく。ハナはサイモンの両親の家に引越した。イヴとハナの入れ替わり生活は終わりを告げてしまった。
ハナの両親の家にひとり残されたイヴは隠れながら荒れた生活をおくる。「自分も妊娠を」と様々な男性と関係を持ったが、結局妊娠することは叶わず、性病に感染、子どものできにくい身体となる。ハナもサイモンの子を8ヶ月で流産、その後遺症により彼女もまた妊娠できない身体となってしまった。
それぞれが哀しみに暮れるある日、ハナの両親がキノコによる食中毒で死亡してしまう。イヴもハナも「私たちに食べられるキノコを教えてくれた、キノコ好きの父がそんな事故を起こす訳がない」と思ったが、警察は不幸な事故として両親の死を処分した。
サイモンとハナは、ハナの両親の家を相続、二人でこの家に住むことになった。屋根裏にはイヴが住んでいる。イヴは「再び昔のような入れ替わり生活がおくれる」と喜んだが、「サイモンを奪われる」と思ったハナはサイモンとイヴをあわせようとはしなかった。
そんな窮屈な生活に耐えられなくなり、ひとり家を飛び出したイヴは小さなアパートを借り、生まれて初めて「ひとり」の生活をはじめる。自分の名前を象徴する「へびとリンゴ」のタトゥーを入れて。
時は流れ、ハナはサイモンと“平均的”な夫婦生活を送り、イヴは金髪のウィッグをつけてクラブの歌手として生計を立てて暮らしていた。
そんなある日、サイモンが偶然イヴのクラブに来てしまう。妻に瓜二つだと驚いたサイモンはイヴに話しかけ、意気投合。サイモンは自分が既婚者である事を隠し、積極的にイヴにアプローチしていった。
イヴはハナに悪いと思いつつも「先にルールを破ったのはハナ(昔抜け駆けをして妊娠→結婚した件)」と、サイモンの好意を受け入れていた。
逢瀬を重ねること数回、サイモンが出張と偽って出かけたオックスフォードで二人は男女の関係になり、イヴはサイモンの子を妊娠する。
様々な事実を知られたくなかったイヴはサイモンには妊娠のことを黙っていた。けれど、父親の名前を伏せた上で、ハナには妊娠を報告していた。報告を受けたハナは「自分も子どもを育てるのを手伝いたい、私達と一緒に生活しよう」とイヴに提案する。
ハナの誕生日、サイモンはハナに手作りの鏡をプレゼントした。お姫様が持つような、細かな装飾がついた手鏡。愛情のこもった世界で一つの手鏡をもらったハナは、サイモンにイヴの話をする。
「今まで黙っていたが、自分には双子の妹がいる。その妹が妊娠をしたので、一緒に住み、子どもの世話を手伝いたい」
彼女の言葉を聞いて、サイモンはすべてを悟った。そして、彼の表情を見て、ハナもまた真実を悟ったのだった。
怒ったハナはサイモンを追い出し、イヴを電話で呼び出した。様子がおかしいと思いつつも、ハナの元へ向かったイヴ。二人は相手の顔を殴ったり、カツラを奪い取ったりと激しい喧嘩をくりひろげたが、そのうち二人共疲れきってしまった。
しばらく一人になりたかったイヴは、スペアキーを使いグラスゴーへと車を走らせた。とっくみあいの喧嘩、得意ではない運転で疲労がピークに達したイヴは、タクシーと接触事故を起こしてしまう。事故そのものは大したことは無かったが、胎児への影響が気になったため、イヴは念のため病院で検査をし、異常がないことを確認した。
ふと姉のことが気になったイヴはハナに電話をかけた。イヴにとって、サイモンよりもハナのほうが大切だったからだ。しかしハナは電話に出ない。不審に思ったイヴは家に戻ることにした。
家に戻ったイヴが目にしたのは、首から血を流し横たわるサイモンと、その横にじっと座り込む、金髪のウイッグをつけたハナだった。
どうやらイヴがグラスゴーにいる間、ハナはイヴになりすましてサイモンと過ごしていたらしい。最初はその状況を楽しんでいたハナだったが、サイモンが自分の誕生日プレゼントと同じデザインの鏡をとりだし、「ハナではなく、イヴと一緒になりたい」と告白したことから、正気を失い、鏡の破片でサイモンの喉を切り裂いてしまったのだ。
二人はこれから産まれてくる子どものため、すぐに協力することにした。
世間は誰も「ハナ」が二人いることを知らない。サイモンが死亡した時、イブがグラスゴーにいたのなら、それは「ハナ」がグラスゴーにいたということであり、「ハナ」のアリバイは完璧になるのだ。
家を掃除し、犯行を隠す準備をしたあと、ハナは警察に夫の捜索依頼を出す。二人の入れ替わりトリックは無事成功すると思われたが、ベッドルームで見つかった「なぞの指紋」や「ウィッグの毛」、ハナの入れ墨・アザの有無や飲み物の好み、刑事の質問に対する答えなどから、警察に「もうひとり」の存在が疑われはじめる。
7回めの事情聴取の日、いつもとは違う部屋に案内されたイヴは、ウソ発見器にかけられる。もうバレていると悟ったイヴはすべてを話しはじめる。生まれのこと、ふたりでひとりの生活、サイモンと出会い、両親の死、そして事件のこと。すべてを話し終わったあと、彼女は云う。
「彼女は消えたわ 二度と戻ってこない」
「存在しない者を逮捕できる?」
「弁護士と話させてちょうだい
殺人の凶器もなければ証拠もない
ここで話されていることはみんな…ただの作り話だもの」
感想
私の解釈は上で書いた通りです。6回目はイヴっぽく振る舞っているハナかもと思いましたが、入れ墨がバレている状況で果たしてハナが行くだろうか?と考えイヴにしました。最初は多重人格?とも思ったんですけど、別な指紋やアザの件、アリバイの件があったので、イヴとハナは別人であると判断しています。
ちょうどイヴとハナの利き腕が違うのでは?とか、「双子?それとも多重人格?」と疑問に思いはじめたあたりで、6/30 37つめの映像【ひとり机に突っ伏してゴニョゴニョいいながら、右手と左手でトントンやるヤツ】をみつけてしまったものですから、左右の手でイヴとハナが会話しているのでは?なんて勘ぐっちゃったり。結局多重人格説は最後の方まで完全に消去できずにいました。
ちなみにあの机トントンはSteamのスレによると06/30(ハナ)LOVEU、07/03(イヴ)BYEHANNAHだそうで。ハナが打ったラブは誰に向けてのものだったんだろ。やっぱりサイモンかな。なんだか切ない。
さてこの『HER STORY』、ミステリ・サスペンスとしては、まぁ一般的な筋書きだと思います。むしろご都合主義が多すぎて、ツッコミどころが多いくらい。
飛び飛びで見ていると、そこまで違和感はないのですが、時系列順に一気に動画を見ると、結構怪しさ大爆発なんですよね、この二人。
「このカメラ録画しているの?」「あなた、子どもはいるの?(刑事が別人な可能性もあるけど)」と、2日連続で同じ質問をしたり、プライベートに関する質問をされて異なる態度を取ったり。
そりゃ双子ってバレるだろ、っていうか今までよくバレてなかったね。ま、最近まで別人として生活していたんだから仕方ないのかなという気もしますが。(そもそもゲームクリアできなくなってしまうし)
普通の(というとちょっと語弊があるけれど)筋書きを、時間を忘れて没頭してしまう脚本・ゲーム作品に仕上げるってのは、ほんとすごいなぁ……と思ったのです。
イヴとハナの温度差。
時系列順に動画を見て感じたのは、さっき述べたように「お前らちょっと怪しすぎだろ」ってことと、2人の温度差でした。
2人共、互いのことをすごく大切に思っているのは間違いないのですが、イヴはハナの事がとにかく大好きで「もうひとりの大切なわたし!」って感じなのに対し、ハナはイヴのことをちょっと下に見ていて、自分そっくりのロボットのように愛している。スペアというかなんというか。
二人の関係は平等ではない。双子の関係というよりも姉妹の、しかも歳の離れた姉妹の様な関係だと感じました。
ハナにとっては「私がハナ」
イヴにとっては「私もハナ」
7回目、昔のことを話すイヴはとても表情豊か。幸せそうだったり、すごく寂しそうだったり。いい演技しますよねぇ。「自分にとってはサイモンよりもハナのほうが大事だって思ったから」というセリフは、とても印象に残っています。きっと、ハナにはコレ、言えませんよね。
誰かに物語を終わらせて欲しかったイヴ
私はフローレンの死も、両親の死も、何らかの形でイヴが関わっていると思っています。一度目は悪い魔女の元から脱出するため、二度目は自分を見つけてもらうため。
わざわざ日記を燃やして脱出したり、(両親が死んだ時、警察は)「屋根裏を覗こうとすらしなかった」なんて言ってみたり。
サイモンが両親の家に越してきた時も(ハナに止められていたサイモンは)「(屋根裏には)手をつけなかったの」と、わざわざ言ってますし。
最初はもうひとりの自分に逢いたくて、無事あえて、ふたりでひとりの生活になって、その生活を気に入りつつも、心のどこかで「イヴ」を見つけてもらいたかったのではないかなと。
さよなら、ハナ
最後の日、イヴは結婚指輪をしていません。たぶんハナがつけていっていたのでしょう。今まではちゃんと指輪をしてきていたし、最後まで「自分はハナ」だと主張するのなら、絶対に必要なはずの結婚指輪。それをつけてこないってことは、たぶん覚悟を決めていたのでしょうね。
ところで、ハナはどこへいってしまったのでしょう?イヴが殺した?どこかへ雲隠れした?
私は雲隠れ説を推したいです。どうもこの二人の間には、我々が理解できないような関係がある気がして、そう簡単に相手のことを殺せないと思うんですよね。特にイヴがハナを……なんて。あー、でもイヴは今までそういうことをしてきているのか……。
んー、いや、でも、動画を見ているうちに二人に感情移入しちゃって、やっぱり生きていて欲しいなって気持ちが強いですね。ハッピーエンド至上主義なので、私。はい。
だから、私の中ではイヴは不起訴でサラを育てあげ、ハナはどこかで生きている、って事になってます。それが私の物語です。
『HER STORY』
一連の映像はイヴの「Just that… stories.」という言葉で締めくくられます。
とてもきれいな終わり方ですよね。「story」という単語は、様々な意味を持っていて「つくり話」だったり、「嘘」だったり、「身の上話」だったり。
最初は「彼女(ハナ)の身の上話」という意味で『HER STORY』なのかな、と思っていましたが、クリアした今「story」の中に込められた様々な意味が理解できます。うーん、面白かった。リプレイ性が無いのが残念ですが、このゲームをプレイして、彼女のSTORYに触れて、人の人生を覗き見るような貴重な体験ができました。素敵なゲームをありがとう!
というわけで、『HER STORY』のネタバレレビュー、sakimitamaがお送りしました。おつかれさまでした!