『ディープ・ブルー』『アース』でお馴染みBBC EARTHの新作映画「ネイチャー(NATURE)」を見てきました。
鑑賞条件
日付:2014年5月6日
場所:木場の109シネマズ
劇場:シアター8(座席数:126)
座席:F列1番(真ん中あたりの列、一番左端の席)
その他:一般3D
Contents
正直な感想
★★★☆☆
「どうだった?」と聞かれたら「まぁ、そこそこ。映像はスゲー綺麗だったよ。行きたいなら行けば?でも、迷ってるなら他いけば?」と答える感じ。
暇さえあれば、アニマルプラネットでネイチャードキュメンタリーをずっと見ているタイプの人間なので、鑑賞前の映画への期待値が高く、また、このレビューを見た方が「正しく『ネイチャー』を楽しめるように」辛めの評価にしました。
全体を通して、「自然を楽しむ!」というよりは「美しい・壮大な映像を楽しむ!」という方に重点が置かれています。
よく、家電屋さんのテレビに流れている、4Kテレビや3Dテレビ用のすっげー美しい映像があるじゃないですか、それが90分続く感じ。(褒めてます、本当に映像はすごいです)
ただ、家族揃って『ネイチャー』見に行くんだったら、同じ時間を使って動物園に行ったり、2014年5月23日に発売予定の『アフリカ』(同じBBC EARTH制作)を購入したほうが良いのでは……?とは、思いました。
「映像美>自然の営み」
アニマルプラネットやEテレのネイチャードキュメンタリーを日常的に見ている私にとって、この映画は物足りなかったです。内容的に見覚えがあるものが多かったというのもありますが、何より「コレジャナイ感」がハンパなかった……。
「情熱大陸」だと思って見に行ったら、「超高画質のコンサート映像」だったみたいな。ま、勝手に想像して行ってしまった私がいけないんですけどね。
ゲラダヒヒを例に取ると……
「絶滅しそうで、エチオピアの高原地帯に住んでて、草食べて、天敵に襲われたら崖に逃げて、危機が去ったらまた草食べて、夜は襲われないように崖でみんなで仲良くくっついて寝る、かかあ天下で平和的で社会的なサル」という詳しい解説とそこそこの映像を楽しむのが、よくあるネイチャードキュメンタリー
「毛がふわふわフサフサして、息を呑むような断崖絶壁に住んでいて、みんなで毛づくろいをしながらのーんびり大あくびをして、時々クワッ!っと怖い顔して、毛をワッサワッサ揺らして走りながら威嚇しあって、でも基本みんなで仲良く草の上でのーんびりしているサル」というのを美麗な映像(と、ちょっとの解説)で楽しむのが『ネイチャー』
伝わりますかね、この情報の違い。価値観の違い。他のネイチャードキュメンタリーと『ネイチャー』は伝えようとしている情報、伝えようとしている手段が違うんです。
Don’t think.FEEL! FEEEEEEEEL!なんです、ネイチャーは。
私は前者だと思ってこの映画を見ていたので、ずいぶん面食らいました。もう少し早くこの違いに気がついていればより『ネイチャー』を楽しめたのかもしれません。
大自然の映像に人工的な音楽はいらなかった
普通、この手のドキュメンタリーには人工的なBGMはあまり入らず、波の音・葉擦れの音・風の音・動物の鳴き声といったように、「自然そのままの音」だけが流れることが多いです。
しかしながら、この映画は映像に合わせてがんがん音楽を入れてきます。中にはアニメ的効果音も(自然の音もちゃんと聞こえるような音量で入っていますが、音楽の演出のほうが印象に残ります)
確かに、音楽のおかげで映像はドラマティックになってます。グンタイアリや、火口のシーンでは音楽も相まって恐怖を感じたくらいです。
ただ、考えてみてください。あなたがグンタイアリの隊列を目の前にした時、聞きたいのは何ですか?マグマが暴れる火口で聞きたいのは何ですか?ドラマチックなBGMですか?
私はグンタイアリの足音が聞きたいです。マグマが吹き上がる音が聞きたいです。
ものすごーく良い機材を使って、ものすごーく手間をかけて「自然を目の前に体験する」みたいなコンセプトで映像をとっているのに、どうして「音」は人工的なものにしてしまったんだろう?この点は本当に納得がいきません。
IMAXで見たかった
木場のIMAXは全て『アメイジング・スパイダーマン2』でした。スパイダーマンとは集客力が桁違いなので、仕方ないのはわかっているのですが、この映画はIMAXで見たかった。見せるなら徹底的に魅せて欲しかった。
最近、映画といえばIMAXという感じで「大きい画面」「美しく鮮やかな映像」に慣れてしまっていたので、今回の一般3Dはとても薄暗く感じました(メガネのせい?)。
この辺は劇場施設によるのでなんとも言えませんが、下手な映画館で見るより、家の4Kテレビで見たほうが感動するんじゃないかってくらい、鑑賞環境に影響される映画。それくらいこの映画は「美しい映像」が全てです。
鑑賞中も「あぁー、このシーンIMAXだったらもっと綺麗だったろうに……」というシーンが随所にありました。
ネイチャーっていうより、アフリカ
『ネイチャー』という邦題がついていますが、取材先はほぼアフリカです。いや、別に私はアフリカ好きなんで問題ないのですが、「北極」とか「ガラパゴス」とか他の地域も期待している方は注意してください。
できれば3Dで
この『ネイチャー』、原題は『Enchanted Kingdom 3D』です。これは、3Dで見るべき映画です。体質的にダメでなければ、3Dで見ることを全力でおすすめします。
メイキング映像は最初に見せて
エンディングロールの後に、4分30秒の「この驚異的な映像はこうして撮影した!」的なメイキング映像がありました。
結構面白かったんですけど、これは最初に見たかった。
これを先に見ると「画面を見た時にそこに映っていない人間を想像してしまう、意識させてしまう」というデメリットもあると思うのですが、この映画の内容なら「ああやって撮影したシーンがここかー」って楽しみ方も問題なくできたと思うんですよね。
映像は本当に素晴らしい
否定的な事ばかり書いていますが、映像は本当に素晴らしいです。普通に生きていたらお目にかかれないであろう景色、瞬間ばかり。
滝も波も水中も、花咲くシーンも、マグマのシーンもスコールも、これもそれもあれもどれも素晴らしかった。
息を呑むような自然の美しい映像を「高画質・大画面・3D」で見ることができたのはやっぱり素晴らしい体験です。
美しい自然を見たいな、非日常を体験したいなという方にオススメする映画です。
てな感じで、最後にフォローして『ネイチャー』のレビューを終わります。最後までお付き合いありがとうございました。