凸版印刷小石川ビル内にある「印刷博物館」に行ってきました!その様子をレポートします!
おでかけ基本情報
印刷博物館
住所:東京都文京区水道1丁目3番3号 トッパン小石川ビル
開館時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
定休日:月曜日(ただし祝日の場合は翌日)
入場料:一般 300円
交通手段:水道橋駅から徒歩13分
写真撮影:禁止(「印刷の家」内は可能です)
行った日時:2014年12月09日(火) 15:00-16:30
誰と?:ひとり
目的:印刷体験をするため
混雑度:ガラガ大変余裕を持ってご覧いただけます。
印刷博物館公式サイト
http://www.printing-museum.org/index.html
どんな博物館?
凸版印刷が運営する、印刷の歴史を学べる博物館。一般人でもそこそこ楽しい。本や印刷物が好きな人ならとっても楽しい博物館。
子供はつれていける?
子連れでも全く問題ありませんが、万人が楽しめるかどうかは微妙。体験型の展示もあるにはありますが、ぱっと見地味な展示が多いので、小学生高学年くらいから……かな。
それくらいの学年だと美術で「版画」や「篆刻」「シルクスクリーン」をやったりして自分の体験と結びつける事ができるので、楽しめるのではないでしょうか。
もし無料公開講座(ワークショップ)に参加するのであれば、低学年でも楽しめそう。
企画展示の内容にもよりますが、展示物が凄すぎて、ある程度知識がないとその凄さがわかりません。親が解説してあげると良いと思います。
楽しかったよ!印刷体験!
今回のメイン!印刷体験!(基本)毎日行われている無料公開講座を体験してきました!
私が体験してきたのは「知るコース:活版印刷のあれこれを聞くガイドツアー」
***講座説明***
工房内の活字・印刷機を見学しながら、印刷の歴史を学べます。来館記念カードの印刷体験もあります。(火・水曜日)
※公式サイトより引用
どーだい?楽しそうだろ-ぅ?
「知るコース」の他には、体験をメインにした「つくるコース」もあります。こちらは木~日曜日。
※開始時刻や定員数など、詳細は公式サイトをご覧ください。
受付をする
「知るコース」は開始時刻の直前に「印刷の家」前で受付が行われます。(「つくるコース」は定員6名、開始時間の10分前から受付開始)
定員が10名なので「いっぱいになっちゃうかも!」と心配になりますが、平日ならまず大丈夫そうです。むしろ、スタッフの方に「お時間ありますか?この後、活版印刷体験があるのですが、いかがですか?」と声をかけられるレベル。
とはいえ、急に団体が来たりすると即埋まってしまうので、絶対に体験したい!ならば、受付時間頃になったら、近くの展示を観ながら待つことをおすすめします。
私の回(2014年12月9日 15:30〜)は参加者3名でした。
時間になったら、工房内に案内されます。鍵付きロッカーがあるので、荷物やコートなどは全部そこに入れてしまいましょう。
印刷博物館は原則写真撮影禁止ですが、「印刷の家」内は写真撮影が可能。写真を撮りたい人は、カメラを持っていくのを忘れずに。
活版印刷を知ろう!
ずらーっと並べられた活字を前に、スタッフの方が活版印刷のしくみを説明して下さいます。
お客さん用に五十音順に並べられた活字達。地震の時とか大変そう……。
ルビ用の活字なんて、もう米粒より小さい!
この他にも、文選箱や活字ケース架、組版ステッキなどを見せてもらいました。「印刷の家」では日常的に活版印刷が行われているので、実際に組版したり、印刷している様子を見ることができます。目移りしまくり。
活字ケース架
通常使われる活字ケース架では、漢字の読みがわからなくても探せるように、使用頻度ごとに、部首別に活字が並べられているんですって。
「『銀河鉄道の夜』でジョバンニがやっていたのはこれかぁ。根気のいる作業だなぁ」とか、「文選箱、子どもには重かったろうなぁ」とか思ったり。
解説してくださったスタッフの方は業界OBっぽかったので、知りたいことがあったならガシガシ質問するといいかもしれません。
活版印刷を体験しよう!(通常編)
「知るコース」の終わりはアダナ印刷機による、活版印刷体験!
アダナ印刷機
あらかじめ、印刷機に組版ステッキがセットされた状態からスタート。
- 印刷機に紙をセット
- バーを上げ下げして、版にインクをのせる
- バーをぐっと下げて、印刷
- 紙をはずしてできあがり!
「知るコース」では1〜4を体験できます。
できあがったしおり。
「つくるコース」は文選・植字・組版・校正・印刷と、最初から最後まで体験できるみたいです。
活版印刷を体験しよう!(特別編)
「お客さん達、すごくラッキーですよ!インクが出てるので、ぜひ体験していってください!」
というわけで、私達は特別に19世紀の「アルビオン手引き印刷機」を体験させてもらえることになりました。
※普段は見るだけ
この印刷機は今でも現役。ちょうど印刷作業が終わったばかりでインクが余っていたので、特別に体験!ということらしいです。本当にラッキー!
体験に夢中になって、写真を撮るのを忘れていました。
アルビオン手引き印刷機の情報はこちら↓
「アルビオン型手引き印刷機」|印刷博物館
「アルビオン手引き印刷機」印刷の流れ
- ローラーを使って版にインクをのっける。
- 紙をセット・固定
- ハンドルを回して、紙をプレス機の下に持ってくる
- 体重をかけてレバーを引いて、上からプレス!
- ハンドルを逆方向に回して、紙を出す
- 紙をはがして出来上がり!
私達は3~5を体験させていただきました。プレスにはかなりの力が必要で、これを一日何十枚(何百枚?)もやるとおもうと、気が遠くなりました。
①のインクをのせているところ。
出来上がった印刷物はこちら!
綺麗に仕上がりました!インクが乾くまでに2日かかるそう。印刷って大変なんですね……。
企画展示・併設ギャラリーの展示もオススメ!
企画展示「印刷と美術のあいだ」
辻仁成と江國香織じゃないから!
企画展示エリアは総合展示エリアの中にあります。この企画展示、総合展示に負けず劣らず、良い展示です。
※企画展がやっていないときは、このエリアも総合展示エリアになります。
今回やっていたのは「印刷と美術のあいだ―キヨッソーネとフォンタネージと明治の日本」
これがまたすごかった!特にキヨッソーネさんの版画!版画とはにわかに信じられない繊細な画がずらずらーっと並んでいて、感動。というか驚嘆。
この細かさは日本の紙幣に通ずるものがあるよなーって思ってたら、日本の紙幣・切手印刷の基礎を築いたご本人でございました。ありがてえ、ありがてえ。
P&Pギャラリー「世界のブックデザイン2013-14」
印刷博物館に併設されている、入場無料のギャラリー「P&Pギャラリー」では、印刷やデザインに関する展示が行われています。
今の期間は「世界のブックデザイン2013-14」
2014年3月にドイツ ライプツィヒで開催された「世界で最も美しい本コンクール2014」の受賞作に、日本、ドイツ、スイス、オランダ、オーストリア、中国、イランにて開催された各国コンクールの受賞作を加えた約160点を展示します。
※公式サイトより引用
かわいい本がいっぱいでした(*´ω`*)
日本の本は、パッと見た瞬間にデザインと文字情報が同時に頭に入ってくるのに対し、外国の本たちは(その国の言葉が読めないから)文字もデザインの一部として頭に入ってきて画のように感じました。
感じ方の違いも面白かったですし、選ばれている本にその国らしさがでていて、興味深かったです。
- 日本→カラフルな色使いで明るく楽しい印象。kawaii。
- 中国→白が多めのモノクロ作品が多い。ビシッっとしてる。
- イラン→立体的。「紙の本」という常識にとらわれていない自由な感じ。
- オランダ→ザ・オサレデザイン。黒が多めのモノクロ、人物写真の表紙が多かった。
- ドイツ→カタイデザイン。王道な感じ。渋いグリーンがよく使われていた。
- スイス→文字がデザインの一部、素材として使われている。上品な「アート」
- オーストリア→風景写真が多くて、静かなイメージ。全体的にシンプル。
展示されている本のほとんどは、実際に手にとって中身を読むことができます。普段はお目にかかれない貴重な本ばかりですので、装丁・ブックデザインに興味が有る方はぜひ行ってみてください!
その他見どころ
- CMYKとRGBの違いを学べたり、網点を学べる体験型展示もあるよ!
- 究極の豆本!マイクロブック!すごすぎて笑っちゃうくらい小さい!!!
- 1階のライブラリーもすごい!私には凄さがいまいちわからないけれど、たぶん、その筋の人には垂涎ものの本ばかり!
まとめ・文字を活かす、言葉を活かす。
「活字」って、おもしろい言葉ですよね。名付けた人はすごいなーって思っちゃいます。だって、活字そのものは、冷たくて重くてほとんど同じ形で、手描きの文字に比べて、ぜんぜん活きてる感じがしないんです。とっても無機質。
でも「活字」によって生み出されたものは、距離を越え、時間を越えて、多くの人の手にわたり、再び息を吹き返す。言葉も気持ちも、伝わらなければ意味がありませんからね、だから「活字」なのかな、と思ったり。
展示物を眺めていると、昔の印刷物って、今からは想像もつかないくらいの手間と時間をかけて、一枚一枚、人の手で刷られていたんだなぁ、と、感慨深いものがありました。今と昔では、印刷物の価値も全く異なったのでしょう。印刷物に対する感覚が、また少し変わりました。
印刷の歴史を学べる「印刷博物館」は「業界を代表する企業として、印刷の技術・文化・歴史を広めよう」という凸版印刷さんの想いが伝わってくる、良い博物館でございました。お近くにいらした際は、ぜひよってみてくださいね!
以上、sakimitamaでした!お疲れ様でした!