ストーリーボードのプロセスから学ぶ画作りの秘訣を受けて考えたこと

先日受けてきた、唯先生のセミナー。そのセミナー後に考えたこと、頭に浮かんだことをまとめました。ちょっと長くなってしまったので、別記事で。

上手と下手(かみてとしもて)

セミナー中に話題に出た『アナと雪の女王』における画面の方向性の使われ方。上手下手(かみてしもて)がはっきりしているって、すごく舞台的ですよね。

あの作品は観ていて(舞台上の演出ではこうなるだろうなぁ……)というのが容易に想像できました。ミュージカル映画って感じです。固定された舞台、限られたスペースで、いかに登場人物を動かすか。物語を成立させるか。

日本だと、上手(客席から見て舞台右側)が文字通り「偉い・上」とかありますよね。

学生時代、演劇の脚本を書いていた時は上手から下手(←という移動)は「ネガティブ・困難へ向かう」、下手から上手(→という移動)は「ポジティブ・安定へ向かう」って感じでやってましたが、こうした概念は海外にもあったりするのかなぁ……なんてことが気になりました。

物語を作る上でルールの統一はとても重要です。観客の脳みそは物語を理解するためではなくて、感じる為に使ってほしいですもんね。

作品をひたすら分析すること

唯先生のお話を聞いていて、大学時代に履修した映画批評の授業を思い出しました。

大学の授業では、今回のセミナーのような「特定の映画の考察・解説をひたすら聴く」ことの他に、「自分自身でも映画を見て考察・発表する」ということもやりました。

今でもよく覚えている課題は

『ロミオ&ジュリエット』をテーマにした映画を複数観てそれぞれチームに分かれて考察する

というもの。私はディカプリオ版を担当しました。

当時の考察を再現するには、改めてしっかり鑑賞する必要があるので詳細は割愛しますが、

プールのシーンはめっちゃエロい。見た目だけでなく、音楽もヤバい。絶対にイヤホンを使え。

ということを、真面目に発表しました。

この授業では、プロが作った作品は(基本的に)「全てのモノに意味がある」ということを学びました。唯先生もおっしゃっていましたね。

こうした考察を行うと、その映画をもっと好きになれるし、作品に対してより敬意を持つことができます。

映画を考察することは、自分を考察すること

映画を分析しましょう、特に画面構成を学びましょうというと必ずといっていいほど『レオン』の名前があがります。めちゃくちゃいい映画です。何度見ても面白いし、痺れます。どこを切っても画になります。

And stop saying “OK” all the time! OK?
OK.
Good.

(関係ないけど、このシーン、超好き)

とっても勉強になると思います。でも、もし映画の考察をする時は「人に勧められた作品」に加えて、自分が大好きな作品も、分析視点で一度観てみてほしいな、って思います。

そうすると、必ず新しい発見があるはずです。必ず。

どうして「必ず」なんていい切れるかといえば、それは「あなたが大好きな作品」だから。その映画の中には、あなたを虜にした秘密が存在しているからです。

これは◯◯の暗喩なのでは?この構図は◯◯を表しているのでは?

このような考察は、時に的外れなモノだったりするかもしれません。そう「この時の作者の気持ちを考えなさい」といったような。

でも、それもいいんじゃないかな、と私は思います。

ものつくりには予算とか期限とか、大人の事情がつきものだから、自分が意味があると感じた演出は、実は意図的ではなく、偶然できたものかもしれない。

けれど自分が良いと感じた部分・意味があると感じた部分を見つけ、その理由を考えて、形にする、言葉や絵に落とし込む。その行為は、対象となる作品を知ることに加え、自分自身を知ることにもなります。

自身への理解を深めると、表現力は豊かになります。自分が良いと思ったものを集めていけば、自分だけの表現が自然と生まれてきます。

RPGで、自分のステータスが分かる状態と、わからない状態、どちらが冒険しやすいかって考えたら、どう考えても前者ですよね。

自分を知る、という行為は、ルールを知るのと同じくらい、もしくはそれ以上に大切な行為だから、ぜひ、好きな映画も考察してみてネというお話でした。ちょっと無理やりですが、この辺で。

昔書いた『風立ちぬ』の考察記事。私の場合、画面構成というよりは、シナリオ寄りの考察なんですけど、よかったらどうぞ。

宮崎駿最後の長編アニメ「風立ちぬ」感想と考察。インタビュー抜粋ネタバレ有

あと、真面目にふざけた『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の考察記事も。

【ネタバレ注意】『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観た。ネタバレ感想。

以上、ストーリーボードのプロセスから学ぶ画作りの秘訣 を受けて考えたこと、sakimitamaがお送りしました。おつかれさまでした。