2019/02/11、東京九段下にて行われた「絵を描くのが楽しくなる6つの勉強法+αセミナー」に行ってきたので、その感想と考えたことをまとめました。今後、参加される方の参考になれば幸いです。
基本情報
開催日時:2019年02月11日(月・祝日)
【午前の部】10:00-13:00
【午後の部】15:00-18:00
会場:東京都千代田区九段南1-5-5(ボーンデジタルセミナールーム 6F)
東京メトロ半蔵門線 九段下駅 6番出口より徒歩1分アクセス
参加費:10,000円
定員:45席
持ち物:筆記用具・スケッチブックなど
(忘れても貸出がありました)
イベントURL
https://satoh-blog.fun/seminer/study6
いつもの通り、ボーンデジタル書籍は20%オフです。お得。
全体の流れ
ジェスチャードローイング
cafeスケッチ
風景スケッチ
—-休憩—-
フィルムスタディー
風景スケッチ+人物
ワンワードアサインメント
午前の部
ジェスチャードローイング(感情とアクションを描きとめる)
ジェスチャードローイングとは、感情やアクションを書き留めるためのドローイングのこと。
(”アタリ”の様な意味で使われることもありますが、唯さん・砂糖さんのセミナーや、私が学んでいる界隈では、アイディアスケッチの様な意味合いが強いです)
ま、ともかく、パット見た時に感じた感情とか、リズムとか、そういうことを、「うまく描くぞ!」って気負わずにた〜くさん描いて、線を引くこと自体を楽しみましょ。絵を描くことへの抵抗感を無くしましょ、観る力を養いましょ、というものなのかな〜と、理解しています。(違ってたらすみません)
どんな絵だって、ペンを持って線を引くことからはじまりますもんね。
ジェスチャードローイングで大切にしたいことや、楽しさのお話を伺い、最後には「じゃぁ、試しにいっしょにやってみようか」的な雰囲気で、クロッキーカフェの動画を元に1分×3体、2分×2体のジェスチャードローイングを行いました。
cafeスケッチ(行きた人物からアイディアを得る)
お外で現実の人間をスケッチすること。別にcafeである必要はありません。例えば電車内でスケッチすることも、公園でスケッチすることも、カフェスケッチ。
手に持っているスマホから目を上げて、道行く人、目の前に座っている人を(失礼にならない様に)観察してみてください。きっと、その人だけのストーリーがあるはず。
あ、◯◯のキーホルダーだ!この人はこのキャラクターが好きなんだなぁとか、この歩き方はちょっとお疲れだなとか、スマホ見ながら優しく笑ってるけど、その画面の先にはどんなモノがあるのかなとか、ケーキの箱持って誰に会いに行くのかな……。そんな事を考えながら、絵に落とし込んでいく。
世界にはアイディアとLOVEが溢れていますよねぇ。
自分の頭の中だけで考えるより、外に出てアイディアをもらったほうが簡単だし、楽しいんだよぉ……「Study from Life!」というようなお話でした。たぶん。
※あくまで周りの人からストーリーのヒントを受けとるだけであって、その人そのものを正確に書くわけではありません。ジロジロ見たり、描かれている方が不快に思うような態度は慎みましょう。
風景スケッチ(実際の景色からパースを学ぶ)
(パースとかの知識的なモノは一旦置いておいて)実物の風景を見たまま描こう。ひとつずつ、ゆっくり丁寧に描くことで、描けるようになるよ〜。
先にフレームを切ったり、描きたいものをドーン!と描いてみたり。そうすることで、描きやすくもなるし、自然と「リアルさ」「ストーリー」ができあがってくるよ〜というお話でした。
他にも、最初は単純なシルエットから〜とか、構図の話とか、いろいろ伺いました。
午後の部
フィルムスタディー(構図が伝えるストーリーを学ぶ)
フィルムスタディーとは、映画の構図を模写することで、そのカットに使われている映像的言語を学ぶというもの。
例えば、このシーンはキャラクターの強さを強調していると感じる。
→それは何故か?
→下から見上げるアングルになっているから
→ということは、逆に、自分が描く絵で「キャラクターの強さ」を表現したい時は、見上げるアングルを使えばいいかも。
みたいなことができるようになる!っていうことだと、私は理解しています。
解説の最後に「じゃぁ、みんなでやってみましょうか」ってことで、3分×3つのフィルムスタディーが行われました。
『シュガー・ラッシュ:オンライン』
———ココからは家に帰って、描いたを絵を観察して考えたこと。
ヴァネロペちゃんが歴代プリンセスに問い詰められているカット。後ろにいるプリンセスを思い切りぶった切り、ポカホンタスの持っている鈍器のラインをまっすぐヴァネロペに向けることで、自然と彼女に視線が集まるようになっています。
『イリュージョニスト』
———ココからは家に帰って、描いたを絵を観察して考えたこと。
全く観たことがない映画なので、完全な想像です。
女の人がドアを開けて、男性を迎え入れているカット(だと思う)。
・女性が踊っているようなシルエットになっていること。
・部屋(女性側)は薄暗いこと、男性側の背景が明るいこと。(かといって、逆光にはなっていないこと)
から、女性は男性が来るのを喜んでいるように感じました。
『レオン』
———ココからは家に帰って、描いたを絵を観察して考えたこと。
これは、あの”モノマネゲーム”のシークエンスがはじまる直前、マチルダが「退屈だから面白いゲームをしよう」と提案する場面です。
レオンと、彼との生活の退屈さを表すため、レオンの衣装がシンプルになっていたり、レオンの背景が(マチルダ側に比べて)非常にシンプルになっていたり、ラインぴったりに牛乳が注がれたコップ(レオンの生真面目さを表す小道具)をあえて画面に入れていたり。面白いですよね。
また、マチルダ本人の肩や、(私は描きませんでしたが)家具の影が、マチルダの特徴的なシルエットを邪魔しないようになっていたりして、ワンカットワンカット、練られているよなぁ……って感動します。
と、まぁ、こういう考察をできるのもフィルムスタディの楽しみ方のひとつなのかな、と私は勝手に思っています。
風景スケッチ+人物(ストーリーが伝わる画作りのアイディア)
「カフェスケッチ」「風景スケッチ」で現実の世界を学び、フィルムスタディーで演出方法を学んだら、あとは愛すべき世界を描くだけ!というお話。
例として、砂糖さんやその他みなさんのスケッチを見せていただきましたが、まー、素晴らしかったですね。
私も同じ場所にいるように感じちゃうんですよ。「素敵な光景だなぁ!」とか、「あー、いるいる。こういう人!」って。
いきなりそこまで到達するのは難しそうですが、砂糖さんが言うように「少しずつ、少しずつ」楽しんで進んでいけたらいいなぁ、と思いました。
ワンワードアサインメント(一枚絵で現在過去未来のストーリーを伝える)
ワンワールドアサインメントとは、一つの単語をテーマにストーリーを感じさせる絵を描くこと。
たぶん、こんな感じ。
これは2018年のインクトーバーで描いた絵。「SLICE」というお題から「自分の分のケーキが切り分けられている様子を、ワクワクしながら待っている男の子」を描きました。
これを続けることで、
「一つの単語から、どれくらいのストーリーを作り出せるか(アイディア)」
「そのストーリーをいかに受け手に伝えるのか(みせ方)」
が身についていくんですって。楽しそう。
Animation Aidの若杉さん(@Ryowaks)がTwitterで「 #エイド宿題 」という企画をやってらっしゃるので、自分だけでやるのはちょっと……とか、どんな感じなんだろう?と気になっている方はのぞいてみてくださいネ。
+マスターコピーから得られるもの
マスターコピーとは、端的に言えば「模写」のこと。大昔から絵を描く人が実践してきた勉強法のひとつです。抽象画で有名なルノワールも、暇さえあればルーベンスの絵をマスターコピーをして学んでいました。
今回のセミナーではマスターコピーの有用性であったり、楽しさについてお話を伺いました。
特に砂糖さん(@hakubi8888 )と、eriさん(@mmmono96)の「マスターコピー元の人が自分に憑依する」という表現が面白かったです。「〇〇だったら、こうやって線を引くはず……!」とか。素敵。私もその域まで達してみたい……。
「人のマネばかりすると個性がなくなるのでは?」という話をよく耳にしますが、私の尊敬する人で、マスターコピー(及び模写)を否定している人はいません。み〜んな「好きなものをマネして、”好き”だけを取り込んでいけば、自然に”自分”ができあがるから大丈夫だよ」って。
真似した画が人のものでも、「好きだー!」って思う感性は、自分だけのものですもんね。ってことで、もっと積極的にマスターコピーしていきたいと思いました。
生の唯せんせいに逢いに行こう!休憩時間に絵を見てもらおう!
すっごい長々とセミナー内容を語ってきました。ちょっと書きすぎなんじゃないの?ってくらい書いてきました。
が、このセミナーで大事なのはこうやって文字に表せることじゃないんです。いや、大事なんですけど。もっと、こう、非言語的な部分なんです。
休憩時間やセミナー終了後、多くの人が絵を見せに先生の周りに集まります。
先生は「見てください」って出された絵を、自分だけで見るのではなく「みんなで見よ見よ!」って、周りにいる人達みんなにみせます。
ここだけ聞くと、恐ろしいですよね。少なくとも私は最初、怖かったです。(なんで、みんなに見せるんですか……やめてください)って思いました。
なぜなら、絵の指導を受けること、感想をもらうことは「どこかを否定されること」だと思っていたからです。
でも、唯せんせいはそうじゃありませんでした。
私の絵を見て、まず喜んでくれました。「みせてくれてありがとう」って。それから、褒めてくれて、良いところを見つけてくれて、最後に「もっとみたい!」と言ってくれました。(もちろん「◯◯を表現するにはどうすればいいか?」という質問には、こうしたらいいかも、というような提案もしていただけます)
見せる前は不安でいっぱいだったのに、見せた後は、もっと絵を描きたい!という気分に変わっていました。唯せんせいって、そういう人なんです。
唯せんせいのセミナーって、内容的にはジェスチャードローイングや、ストーリーテリングに関することで、現実に先生が話している言葉はそれに関することなんだけれど、何故か「大丈夫だよ」って、言われ続けているような気になるのです。
まとめ:絵を描く上での安全基地
安全基地というのは、人間の愛着行動に関する心理学用語で、簡単に言うと「安心して帰ってこれる場所」という意味の言葉です。
人は、しっかりとした安全基地を持っていると、自然に外の世界に関心を持ち、自らの足で歩みだすことができるようになります。
唯せんせいは、この「安全基地」そのものだと、私は思います。自分が描いた絵を「受け入れてくれる人」、描きたいという気持ちを「受け入れてくれる人」
そういう人がいると、絵を描くことが楽しくなります。もっというと、毎日が、生きていることが楽しくなります。
まぁ、いきなり「生きることが楽しい」とまではいかないですけど、唯せんせいのセミナーは「絵を描きたい!」って、自然に思えるようになるセミナーだと思っていて、本当に心の底からそう思っていて、だから「絵を描くのが辛い・苦しい」って感じている人には、ぜひ受けてみてほしいなって思うのでした。
以上、【楽しみながら上達する】絵を描くのが楽しくなる6つの勉強法+αセミナーの感想、sakimitamaがお送りしました。唯せんせい、砂糖さん、ボーンデジタルの皆さま、参加された皆さま、楽しいひと時をありがとうございました。